労働時間の把握方法(別紙・参考書式)

平成  年  月  日

労働時間等勤怠の申告について

会社○○○○

代表取締役○○○○      

 1.入場、退場の際には、タイムカードの打刻を行い、在場時間を把握します。

2.タイムカードの打刻時間は在場時間確認であるため、労働時間の管理は労働時間管理簿への本人の記入をもって行います。

3.退場の際には、始業時間、終業時間、休憩時間を労働時間管理簿へ記入して下さい。

4.残業、休日出勤をする場合又は行った場合には、届書に記入のうえ、上司に提出し、労働時間管理簿に記入して下さい。 

5.有給休暇を取得する際には、事前に届書に記入のうえ、上司に提出して下さい。

6.欠勤、遅刻、早退等した場合には、速やかに届書に記入のうえ、上司に提出して下さい。

7.上司は、届書の確認をし、社長に提出して下さい。

労働時間の把握方法

 労基法では、「1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない」とか「これらの時間を超えて労働させる場合には36協定を締結・届出しなくてはならない」と規定していることから、使用者には労働者の労働時間を適正に把握する義務があります。把握方法としては、通達により、①使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること、②タイムカード・ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること、とされています。

 現在、従業員の労働時間を全く把握していない事業所はあまりないと思われますが、タイムカード等の打刻時間を気にせずに放置しておくことは、後々、残業代をめぐって労使間のトラブルになるおそれがあります。客観的な記録であるタイムカードの打刻どおりの時間から、残業代を請求されることもあります。しかし、「タイムカードの打刻時間=正確な労働時間ではない」ことは言うまでもなく、事業所としては、タイムカードとは別に、何らかの残業時間を把握する方法を導入しておくことが望ましいといえます。

 また、裁判例の中には、「タイムカードを打刻すべき時刻に関して労使間で特段の取決めのない本件においては、タイムカードに記録された出社時刻から退社時刻までの時間をもって実労働時間と推定すべきである。(三晃印刷事件・東京地判平9.3.13)」、また、「被告は当該タイムカードによっては従業員の労働時間の管理を厳密にはしておらず、むしろ、各従業員が記入した地域別収集状況に基本的によっており、従業員からの当該申告を見て疑問のあるところをタイムカードと照らして労働時間管理の正確性を期するために補助的に打刻を指示していたに過ぎず、厳密な打刻管理をしているようには見受けられないこと、………原告がこのタイムカードをどのようなタイミングで打刻していたのかもあまり明確ではないことなどからすると、原告の請求期間の労働時間を正確に把握するものとしては不十分である。(藤ビルメンテナンス事件・東京地判平20.3.21)」と判示しているものがあります。したがって、タイムカードの利用目的を明確にしておくことも有効と思われます(別紙・参考書式「労働時間等勤怠の申告について」)。

 なお、労働時間管理は、従業員の健康確保の観点からも必要とされます。事業者は、是非、自社の労働時間管理を見直していただき、労使双方にとって有効な労働時間の管理方法を導入していただきたいと思います。

地域別最低賃金額の改定

 先日よりH25年度の地域別最低賃金の改定が始まり、長野県の最低賃金は平成25年10月19日より713円に引き上げられることとなりました(従前は700円)。時間額713円未満で支給している会社は、賃金の引き上げが求められることとなります。

 今回は、最低賃金について少しお話をしたいと思います。

(1)最低賃金はすべての人に適用されるのか?

-原則、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。一部、精神又は身体の障害により著しく能力の低い者など最低賃金の減額特例の対象となる人もいますが、労働局の許可を受けることが必要です。

(2)最低賃金にはどんなものがあるか?

-最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。今回改定となった地域別(略)とは、産業や職種にかかわらず、すべての労働者とその使用者に適用され、各都道府県ごとに設定されます。一方、特定(略)とは、各都道府県内の特定の産業の労働者とその使用者を対象として、地域別より高い最低賃金を必要と認めるものについて設定されるものです。地域別と特定の最低賃金が同時に適用される場合は、特定の方が優先されるため、会社の業種が特定の産業に該当するか否かについても確認が必要です。

(3)最低賃金額以上かどうかの確認方法は?

-最低賃金は、時給・日給・月給等を問わず適用されるため、日給者や月給者の場合は、時間額に換算した額が最低賃金額以上である必要があります。

例えば、月給124,000円、年間所定労働日数が260日、1日の所定労働時間が8時間の人の場合、

(月給×12ヶ月)÷(年間所定労働日数×1日の所定労働時間)

=(124,000×12ヶ月)÷(260日×8H)

=715円

この場合、713円を上回りますのでこのままの月給額でOKです。

 最低賃金法に違反した場合は50万円以下の罰金を科せられることもあるため、事業者の皆さんは、上記を参考に最低賃金法を遵守できているかどうかをもう一度ご確認いただきたいと思います。

休日振替をした場合の割増賃金の支払いは?

 先日少しお伝えしましたが、労働基準法では、労働時間について原則として1週40時間、1日8時間まで、休日については1週1日又は4週4日と定めています。これを超えた超過労働については、通常の賃金に加え、割増賃金の支払いが必要になります。

 休日振替は「事前に休日と労働日を交換するもの」という性質から、何となく割増賃金は不要と思われがちですが、実は、そうではないケースが多々あります。労働基準法の通達では、以下のように定めています。

22.11.27基発401号、S63.3.14基発150号・婦発47

就業規則に定める休日の振替規定により休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働とはならないが、振り替えたことにより当該週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する三六協定及び割増賃金の支払が必要であることに注意されたい。

 つまり、振替休日を同一週内でとれなかった場合は、休日振替により出勤した週(1週め)は法定労働時間である40時間を超えることになるため、週40時間を越えた時間分に対しては、割増賃金(×1.25)の支払いが必要になるのです。ただし、変更後の休日(2週めの火曜日)を取得した時点で「1.00」の分を控除することになるため、結果として×0.25分の割増賃金の支払いとなります。

例)

 なお、同一週内で休日振替を行った場合は、その週は40時間を超えないため、通常の賃金の支払いのみでよく、割増賃金の支払いは不要です。代休制度(休日労働をさせた後で、代償として他の日に休みを与えるもの。休日労働したことに変わりはないので、休日割増が必要)と比べて利用が手頃な制度ではありますが、同一週内で振替休日をとれなかった場合は、割増賃金の支払いが発生する点に注意が必要です。

時間外・休日労働協定の適正な締結・届出

 先日の信濃毎日新聞に掲載されましたが、近年、労働基準監督署(以下「監督署」)の臨検による、労働基準法(以下「労基法」)又は労働安全衛生法について違反が発覚する事業所が長野県においては全国平均を上回っています。違反事項として多いのが、①法定労働時間を超えて残業をさせている、②残業代未払い、③労働条件通知書等を労働者に明示していない、④就業規則の提出義務を果たしていない等です。このうち①に関係する書式について、今回お話しをしたいと思います。

 労基法では、原則、1週40時間、1日8時間と法定労働時間が定められています。これを超えて労働させる場合は、労使間で協定(36協定)を締結し監督署に届け出ることで、協定に定めた延長時間まで時間外・休日労働をさせることができるとされています。協定に定めた延長時間は、厚生労働大臣の告示により限度時間が定められており、原則、1ヶ月あたり45時間まで、1年あたり360時間までとされています。この限度時間を超えて延長する場合は、別途、特別条項を設けておく必要があります。①に違反しないためには、36協定の記載内容を適正なものにしておくことが事前対策として有効です。是非一度、自社の36協定について再確認していただければと思います。

期間雇用社員が期間満了直前に労災に遭った場合の取扱い

 労災保険は、パート、アルバイト等名称や雇用形態にかかわらず、労働の対象として賃金を受けるすべての人が対象になるため、期間雇用者員についても勿論、正社員と同様の保険給付を受けることができます。期間雇用社員が期間満了直前に労災に遭った場合の保険給付としては、主に「療養(補償)給付」、「休業(補償)給付」があり、どちらも退職後も続けて請求することが可能です(休業(補償)給付については、退職後は事業主の証明が必要でなくなるため、労働者本人が直接手続きを行うことになります。)。

 ただし、近年は、労働契約法が改正され期間雇用社員に対する雇い止めのルールが厳格化される(労契法19条)等の背景もあり、業務上の怪我等に遭った期間雇用社員の退職理由が「期間満了による退職」ではなく、「解雇」とみなされる場合には、労基法19条による解雇制限が適用されるため、契約を打ち切ることができなくなるので注意が必要です。

 労契法19条

  有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日まで

 の間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了

 後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒

 絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき

 は、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申

 込みを承諾したものとみなす。

① 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期

 間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させる

 ことが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすること

 により当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認め

 られること。

② 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が

 更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 労基法19条

  使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及

 びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びそ

 の後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が第81条の規定によって打切補

 償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能

 となった場合においては、この限りでない。

2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければ

 ならない。

産休・育休に関すること

 先日、厚労省より「平成24年度 都道府県労働局雇用均等室での法施行状況」が公表されました。これは、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談、紛争解決の援助申立・調停申請や是正指導の状況について、毎年発表されるものです。

 これによると、是正指導について、増加傾向が続いており、昨年度より2,500件増加、中でも育児・介護休業法に関する案件が全体の57.9%を占めています。これは、平成24年7月に全面施行された改正育児・介護休業法による行政指導が行われた結果といえます。

最近では、社会保険料免除を従来の育児休業期間に加えてH26年度から産休期間へも拡大することが決定され、また育児休業期間を従来の1歳まで(一定の場合は1歳6ヵ月まで)から3歳までとする案(賛否両論ありますが)も出てきています。ワーク・ライフ・バランスの観点からの労働者保護の動きはますます活発化しており、企業は産休・育休をとる労働者についての職場の環境づくりに、今後も引き続き取り組んでいく必要があるといえます。

労働保険の年度更新

 毎年6月~7月は、労働保険の年度更新、社会保険の定時決定、賞与の支給と、会社の事務担当者の皆さんにとってはお忙しい時期かと思います。今日は、このうち労働保険の年度更新についてお話しさせていただきたいと思います。

 労働保険は、法人・個人を問わず労働者を1人でも雇っていれば適用事業(一部の業種を除く)となり、労働保険料を納めなければなりません。労働保険には、すべての労働者が対象となる労災保険、原則として所定労働時間が週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば対象となる雇用保険の2つがあります。一般的に建設業の事業以外は、支払った賃金にそれぞれの率をかけた労働保険料を、年度の初めに概算で算出して申告・納付し(概算保険料)、翌年度の初めに改めて実績をもとに確定させて申告し(確定保険料)、概算保険料と確定保険料の過不足の精算を行います。これを労働保険の年度更新といい、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料をあわせて申告・納付することを繰り返すことになります。

 事務手続きのポイントとしては、①上記のとおり、労災保険と雇用保険では対象となる労働者が違うこと、②年度途中でアルバイトから正社員等になった場合などは、途中から雇用保険料を算入する必要があること、③賞与等の臨時の賃金も算入すること、④役員の報酬を含めないことなどがあります。

 年度更新の手続きは毎年7月10日までとされています。提出が遅れた場合は、延滞金が発生することもありますので、できるだけ余裕をもって手続きを済ませたいものです。

給与明細の記載事項は?

 通常、従業員の方が受け取る給与明細書には、基本給や手当の支給項目、保険料や税金の控除項目、出勤日数や労働時間の勤怠項目が記載してあることが一般的だと思います。これらの事項は、法定3帳簿の一つである賃金台帳の法定記入事項に該当します。では、給与明細の法定記載事項は何なのか?これに関しては、労働基準法の通達が参考になります。

H10.9.10基発第530(一部抜粋)

 使用者は、口座振込み等の対象となっている個々の労働者に対し、所定の賃金支払日に、次に掲げる金額等を記載した賃金の支払に関する計算書を交付すること。

 (1) 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額

 (2) 源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合

   には、事項ごとにその金額

 (3) 口座振込み等を行った金額

また、健康保険法、厚生年金保険法、労働保険料徴収法には、「保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に通知しなければならない。」旨が定められており、各法により給与から保険料を控除したときは、計算書を従業員に発行する必要があります。また、所得税法においても、「給与等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払いを受ける者に交付しなければならない。」旨が定められています。

 以上を見てみると、支給項目又は控除項目についての記載の法的必要性が見られるものの、勤怠項目についての明記がありません。しかし、労働日数、有休日数や労働時間については、賃金計算上の根拠にもなることから、記載するべき事項であり、記載することが慣行となっています。近年増加する労使トラブルを防ぐうえでも、賃金台帳とともに、各事項を記載した給与明細書の作成が求められます。

〈参考〉 労基則54条1項・2項(賃金台帳の記入事項)

 ア 賃金計算の基礎となる事項、賃金の額

 イ その他厚生労働省令で定める事項

  a 氏名

  b 性別

  c 賃金計算期間

  d 労働日数

  e 労働時間数

  f 法33条もしくは法36条1項の規定によって労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた

   場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定

   める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、

   その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数

  g 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額

  h 法24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額

  i gの賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額

 ウ 賃金台帳に記帳する時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数は、就業

   規則において労働基準法の規定と異なる定めをした場合には、その就業規則に基づいて

   算定する労働時間数を記帳することができる。

労働契約締結時に明示すべき事項の法改正

 従来、労働契約締結時には、労働基準法15条1項により、一定の事項(労働契約の期間、就業の場所、業務の内容、始業・終業の時刻等々)を労働者に明示すべきことを義務づけています。なお、これらの事項の明示方法はほとんどが文書による必要があります。

今年4月1日より労働基準法施行規則が改正され、上記に加えて「期間の定めのある労働契約についての更新の有無、更新がある場合の判断基準」についても明示しなければばらなくなりました。労働契約締結時に明示しなければならない事項を明示しなかった場合には、最悪の場合、30万円以下の罰金(労基法120条1号)に処せられることもあるため、労働契約書の内容を一度確認しておくことをお勧めします。