期間雇用社員が期間満了直前に労災に遭った場合の取扱い
労災保険は、パート、アルバイト等名称や雇用形態にかかわらず、労働の対象として賃金を受けるすべての人が対象になるため、期間雇用者員についても勿論、正社員と同様の保険給付を受けることができます。期間雇用社員が期間満了直前に労災に遭った場合の保険給付としては、主に「療養(補償)給付」、「休業(補償)給付」があり、どちらも退職後も続けて請求することが可能です(休業(補償)給付については、退職後は事業主の証明が必要でなくなるため、労働者本人が直接手続きを行うことになります。)。
ただし、近年は、労働契約法が改正され期間雇用社員に対する雇い止めのルールが厳格化される(労契法19条)等の背景もあり、業務上の怪我等に遭った期間雇用社員の退職理由が「期間満了による退職」ではなく、「解雇」とみなされる場合には、労基法19条による解雇制限が適用されるため、契約を打ち切ることができなくなるので注意が必要です。
労契法19条
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日まで
の間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了
後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒
絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき
は、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申
込みを承諾したものとみなす。
① 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期
間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させる
ことが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすること
により当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認め
られること。
② 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が
更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
労基法19条
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及
びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びそ
の後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が第81条の規定によって打切補
償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能
となった場合においては、この限りでない。
2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければ
ならない。