労働時間の把握方法

 労基法では、「1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない」とか「これらの時間を超えて労働させる場合には36協定を締結・届出しなくてはならない」と規定していることから、使用者には労働者の労働時間を適正に把握する義務があります。把握方法としては、通達により、①使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること、②タイムカード・ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること、とされています。

 現在、従業員の労働時間を全く把握していない事業所はあまりないと思われますが、タイムカード等の打刻時間を気にせずに放置しておくことは、後々、残業代をめぐって労使間のトラブルになるおそれがあります。客観的な記録であるタイムカードの打刻どおりの時間から、残業代を請求されることもあります。しかし、「タイムカードの打刻時間=正確な労働時間ではない」ことは言うまでもなく、事業所としては、タイムカードとは別に、何らかの残業時間を把握する方法を導入しておくことが望ましいといえます。

 また、裁判例の中には、「タイムカードを打刻すべき時刻に関して労使間で特段の取決めのない本件においては、タイムカードに記録された出社時刻から退社時刻までの時間をもって実労働時間と推定すべきである。(三晃印刷事件・東京地判平9.3.13)」、また、「被告は当該タイムカードによっては従業員の労働時間の管理を厳密にはしておらず、むしろ、各従業員が記入した地域別収集状況に基本的によっており、従業員からの当該申告を見て疑問のあるところをタイムカードと照らして労働時間管理の正確性を期するために補助的に打刻を指示していたに過ぎず、厳密な打刻管理をしているようには見受けられないこと、………原告がこのタイムカードをどのようなタイミングで打刻していたのかもあまり明確ではないことなどからすると、原告の請求期間の労働時間を正確に把握するものとしては不十分である。(藤ビルメンテナンス事件・東京地判平20.3.21)」と判示しているものがあります。したがって、タイムカードの利用目的を明確にしておくことも有効と思われます(別紙・参考書式「労働時間等勤怠の申告について」)。

 なお、労働時間管理は、従業員の健康確保の観点からも必要とされます。事業者は、是非、自社の労働時間管理を見直していただき、労使双方にとって有効な労働時間の管理方法を導入していただきたいと思います。